最低限知っておきたい釣りの基本ルールとマナーと法律
最低限知っておきたい釣りの基本ルールとマナーと法律
海や川はみんなの物なので初心者だからといって必要以上に恐れる必要はありません。ここでは最低限これを知っていれば周りからひんしゅくを買わないというようなマナーやルール、また違反すると犯罪になってしまう法律についても詳しく解説します
- 1. 釣りに関する法律
- 1.1. 魚の内臓を海に捨てると不法投棄です
- 1.2. 死んだ魚を海に捨てると不法投棄です
- 1.3. フグなどを陸に捨てると不法投棄か軽犯罪に該当する可能性があります
- 1.4. アワビ、ナマコ、シラスウナギを獲ると日本全国密漁になります
- 1.5. 貝、イセエビ、ウニ、タコ、ナマコ等を採取すれば漁業権の侵害です
- 1.6. 鮎、ヤマメ、イワナなどを釣るのに遊漁料を払わなければいけない場所があります(第五種共同漁業権)
- 1.7. ブラックバスは生きたまま持ち帰ってはいけません(特定外来生物法)
- 1.8. ブラックバスやブルーギルをリリースしてはいけない県があります(条例など)
- 1.9. 撒き餌禁止の県があります(漁業調整規則)
- 1.10. ひき縄(トローリング)はほとんどの県で禁止されています(漁業調整規則)
- 1.11. 集魚ライトは禁止されている場合があります(漁業調整規則)
- 1.12. 不法侵入をあまく見ない
- 2. ルール
- 3. マナー
- 4. 水産庁のサイト
釣りに関する法律
まずは法律です。こちらはマナーやルールと違い犯罪になってしまいますので絶対に違反してはなりません。法律を調べてみるとグレーな部分や言い逃れできそうなケースもありそうなんですが、以降で解説することは基本的に違反なので弁護士なみに法律に詳しい法律おたくでなければ守ったほうがいいです。釣り人失格になる前に社会人失格になってしまいます。一般的な釣り人にとって、そういった方には釣り場に入ってきても欲しくありません。あなたは気を付けましょう。
魚の内臓を海に捨てると不法投棄です
これは完全にアウトです、微妙でもなければグレーでもありません。何年かに一度はニュースになったりもしていますね。食べる目的で魚を釣って捌いて不要な部分を捨てるのですから不法投棄です。当然ですが陸に捨てても不法投棄です。不法投棄の罪は重く5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金です。
死んだ魚を海に捨てると不法投棄です
釣れ過ぎたりバケツの中で死んでしまった魚を捨てる場面をよく見かけますが、これも厳密に言えば不法投棄に当たります。しかし、わっさわっさと魚を抱えて海にドボンと捨てているところを警察に見られると逮捕されるかもしれませんが、正直釣り人が帰り際に「大きな魚の餌になってね」などと言いながら数匹の魚をさっと捨てても罪に問われることはないでしょう。しかし魚の管理も釣りの技術のうちでありますので、数釣りをする場合も全部持って帰る覚悟で釣りをする、死んでしまいそうな魚を見極めて早いうちにバケツからクーラーボックスに移すなどをしてください。
フグなどを陸に捨てると不法投棄か軽犯罪に該当する可能性があります
まず最初に言っておきますが、フグを陸に放置することは当然やってはいけないことでルール、マナー、法律に反するというのが極一般的な釣り人の感覚です。しかしこのフグ問題に関してはたびたび論争が起きます。それは反社的な感性を有している人が、「何の法律に違反しているんだよ」と言う理屈を持ち出すことに原因があります。しかしこれは意外にはっきりしていて軽犯罪法に当たる可能性が極めて高いです。これですね、はっきり書いてあります↓
軽犯罪法、第一条27号
公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者
実のところフグは不法投棄に当たるかどうかは微妙なんですが、上記のように軽犯罪法に抵触する可能性が極めて高いのです。たかが軽犯罪なのですが、これをやってしまうと他人から見て確実に「あほで釣りをする資格のないやつ」の分類に入れられてしまいます。ただし見かけても絶対に無視してください、フグを注意するとものすごいトラブルに発展したりします。もともとがフグを公共の地面に捨てるようなやからなので話などはなから通用しません。反社界のフグ捨て部門のマスコットかゆるキャラのようなものだと思って悪い見本として観察する程度にしてください。とくに中年から年配の方にフグを捨てる方が多いのですが、彼らは放っておいても次第に退場していきます。どんどん釣りと言う趣味をクリーンでほのぼのとしたものにしていこうではありませんか。
アワビ、ナマコ、シラスウナギを獲ると日本全国密漁になります
アワビ、ナマコ、シラスウナギは特定水産動植物に指定されていますので獲ってはいけません。これは漁業権内外にかかわらず違反です。これに違反、侵害した場合は3年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金が科される場合があります。2018年の漁業法改正により罰則が強化され非常に罪が重くなりました。
参考→密漁を許さないー沿岸密漁の対策についてー水産庁
貝、イセエビ、ウニ、タコ、ナマコ等を採取すれば漁業権の侵害です
貝類や藻類やエビやタコなどの定着性の生物を採捕すると漁業権の侵害になる場所が多くあります。特に貝とイセエビは日本中のほぼすべての場所で採捕禁止になっていると思っておいた方が良いでしょう。何を採捕してはいけないかは、各都道府県で決まっていますので問い合わせてみればいいでしょう。ちなみに、タコは意外に思った人が多いのではないでしょうか?タコを獲っていいところは割と多いですので釣りに行く前に調べておけば安心です。
もし獲ってはいけない生物が釣れてしまったらどうすればいいかということですが、もし釣れた場合は即逃がせば大丈夫です。漁業権侵害は親告罪ですので漁協に訴えられなければ逮捕されません。ですので釣れても逃がせばだれも罪を問うたりはしません。持ち帰ると密漁になりますので100万円以下の罰金に処される場合があります。
大阪の例です→密漁は違法です!遊びや自家消費でも処罰の対象となりますのでご注意ください!
鮎、ヤマメ、イワナなどを釣るのに遊漁料を払わなければいけない場所があります(第五種共同漁業権)
川や湖などにも海と一緒で、漁業法第127条に基づき特定の魚種に対して漁業権が設定されている場所があります。これを第五種共同漁業権と言います。しかし海とはルールが違っていて魚が釣れても釣れなくても遊漁料を支払わなければいけません。例えばイワナに対して漁業権が設定されている場所でイワナを釣る場合、料金を払う場所がありますので、そこでお金を払ってから釣りをすることになります。主に渓流魚に設定されていますので、渓流で釣りをする場合は調べる必要があります。
ここで問題が出てくるのが自分が狙っている魚が漁業権の対象になっていない場合です。これはお金を払う必要があるのでしょうか。例えばニジマスが漁業権の対象になっている場所でブラックバスを狙っていたら係員のおじさんがやってきて遊漁料を徴収されたというケースです。これはもっとも多いトラブルなのですが、慣習としては客観的に見てニジマスが釣れてしまう可能性があると判断すれば徴収するということになっている場合が多いようです。明らかにニジマスが釣れないルアーで釣りをしているのにしつこく徴収してくるようであれば、もう払ってしまって気兼ねなく釣りをするか、どうしても払いたくなければ訴えてくれというしかありません。
ブラックバスは生きたまま持ち帰ってはいけません(特定外来生物法)
ブラックバスやブルーギルはを生きたまま持ち帰ったり飼育することは法律で厳しく規制されています。違反するとかなり重い罪になります。他の外来魚も規制の対象になっている場合がありますので生きたまま持ち帰る場合は必ず環境省のホームページで確認してください。また、こちらは法律ではありませんが県によっては釣ったその場で逃がすこと(キャッチアンドリリース)も禁止されています。このあたりは他の記事でかなり詳しく書きましたので参考にしてください。
もっと詳しく↓
ブラックバスやブルーギルをリリースしてはいけない県があります(条例など)
条例や内水面漁場管理委員会の指示によりブラックバスやブルーギルをリリースしてはいけない都道府県があります。
詳しくはこちら二つ↓
撒き餌禁止の県があります(漁業調整規則)
意外ですが海で撒き餌が禁止されている県がいくつかあります。これは各都道府県の漁業調整規則で定められていて、東京を例にしますと違反して有罪になれば科料が科せられることがあります。以下が撒き餌禁止の県です。内水面は不明ですが淡水で撒き餌をする釣りは特殊なので各自調べてください。ここでは海について紹介します。
全面的に禁止の県
・茨城県 ・東京都
船釣りのみ禁止の県
・和歌山県の一部 ・兵庫県 ・島根県の一部 ・岡山県 ・広島県 ・香川県 ・愛媛県
その他、陸か船釣りか不明
・青森県の一部 ・千葉県の一部 ・石川県の一部 ・福井県の一部
データ引用元水産庁→都道府県漁業調整規則で定められている遊漁で使用できる漁具・漁法(海面のみ)
ひき縄(トローリング)はほとんどの県で禁止されています(漁業調整規則)
これも意外ですが、ひき縄(トローリング)は実はほとんどの県で禁止されています。これは各都道府県の漁業調整規則で定められています。トローリングに興味がある方はこちらで調べてください。
水産庁→都道府県漁業調整規則で定められている遊漁で使用できる漁具・漁法(海面のみ)
集魚ライトは禁止されている場合があります(漁業調整規則)
集魚ライトとは水面に光を当てて魚を集める方法です。あまりやる人はいないと思いますが、禁止されている県がいくつかありますのでこれも水産庁のサイトで調べてください。これも各都道府県の漁業調整規則で定められています。都道府県漁業調整規則で定められている遊漁で使用できる漁具・漁法(海面のみ)
不法侵入をあまく見ない
海釣りの場合は不法侵入をするような場面にあまり出くわさないのですが一応書いておきます。不法侵入はけっこう普通に逮捕されるのでやめたほうがいいです。例えば野池でブラックバスを釣っていたら、そこは私有地で逮捕されたなんてこともあります。タケノコやキノコを盗むわけじゃないんだからまあいいかと思っていたら痛い目にあうので、やはり他人の土地に無断で立ち入ってはいけません。
ルール
サッカーや野球のようなスポーツと違い、釣りにルールはありません。上記の法律や下記のマナーを守りさえすれば、えさで釣ろうが、ルアーで釣ろうが、短い竿で釣ろうが、長い竿で釣ろうが、初心者であろうが、他人にとやかく言われる筋合いはありませんのであなたの思うままに堂々と楽しめばいいのです。
マナー
こちらは法律で決まっている物ではありませんがないがしろにしてはいけません。法律を守らなければ社会人である資格がありませんが、マナーをまもらなければ釣り人である資格がないということです。釣りのマナーには2種類あります。まずゴミを捨てない、迷惑駐車をしないなどの常識的なマナーと、もう一つは釣り特有のマナーです。常識的なマナーを守らない人にはそもそも釣りをして欲しくありませんのでここでは釣り特有のマナーを解説します。私の20年以上の経験から観察したごく一般的な釣り人としての感覚ですので、以下で説明するとおりの感覚を身に着けていただければどこの釣り場に言ってもまず間違いありません。
隣との間隔
なんといってもここが一番の悩みどころです。慣れてくれば大体の常識的感覚が分かってきます。しかしそもそも初心者は「この大体の常識的感覚」が分からないので最初は釣り場で緊張するものです。
・最低5メートルは空ける
基本的に釣竿と仕掛けの長さの合計以上ないと危険ですので混雑していなければ5メートル以上間隔を空けなければいけません。
・混雑していれば等間隔の隙間を狙う
有名な釣り場の休日はまるでパチンコ屋さんのように混雑している場合があります。そんなときは不思議なほど等間隔に釣り人が並んでいますので、なんとか隙間を見つけて入りましょう。また、そういった場所はサビキ釣りで埋め尽くされていることがほとんどですので竿を振り回すことがないので、自分もサビキ釣りをする限りはそれほどトラブルも起きないです。
・ふかせ釣りをやっていたら近づかない
ふかせ釣りといって5メートルぐらいのめちゃくちゃ長い竿を使ってウキ釣りをしている人がいます。ふかせ釣りには近寄ってはいけません、最低でも10メートルは離れましょう。とはいうものの混雑するようなポイントでふかせ釣りをする人はあまりいないです。
釣りをする範囲は自分の真正面が鉄則
これもかなり大事です。近くに他の釣り人がいる場合は自分の仕掛けはまっすぐ正面に投入しましょう。水の中は見えなくてもそれぞれの釣り人の糸が水中に入っています。そして誰しも完璧にまっすぐに投げる技術を持っているとは限りませんのでひょっとすると自分の近くまで糸が来ているかもしれません。そういった状況で斜めに投げてしまうと他の人の糸に絡んでしまう可能性が高くなってしまうからです。たまに遠くから斜めに投げてきて自分の目の前に着水させたりする人がいますが、その場合は投げるのを失敗したかおかしなやつかのどちらかです。いずれにしても紳士的な態度で絡んだ糸を外して、何事もなかったように釣りを再開するのが最善策です。けっして売られた喧嘩を買うようなことをしてはいけません。
挨拶をしましょう
隣に入るときは一言挨拶をしましょう、挨拶をしてもしその人が人当たりがよさそうであれば「釣れてますか?」と聞いてみましょう。そしてその際に相手から挨拶が返ってくることを期待してはいけません、釣りは自然との対話です。我関せずでいきましょう。挨拶はかなり大事でこれをやると一気にトラブルが起きる確率が減ります。
仕掛けが絡んだら一言謝って積極的に協力して外そう
相手が完全に悪い場合は謝らなくてもいいですが、その場合でも積極的に協力しあって外しましょう。自分が悪いのにも関わらず一言も謝らない人もざらにいますが腹を立ててはいけません。さっさと外して釣りを再開しましょう。
マナー警察にはなるな
マナー警察になっては絶対いけません。マナーは他人のために自主的に守るものです。あなたがマナーを守っていればそれでいいのです。釣りは自然との対話です、人を相手に嫌な思いをすることほどバカバカしいことはありません。本末転倒であり魚を相手にしているほうが楽しく有意義です。
撒き餌は掃除して帰りましょう
撒き餌を地面にこぼした場合は帰るときにバケツに水を入れてザーっと流して帰りましょう。ごしごし磨いたりする必要はありませんザーっとでいいです、これをやるだけでずいぶん釣り場がきれいになります。
ゴンズイ、ハオコゼなどの毒魚を陸に放置しない
これは最悪です。ゴンズイやハオコゼのようなとげに毒があるものは言うまでもなく危険です。死んでも毒は残っているからです。特にゴンズイは良く釣れるのでたまに陸で干からびているのを見かけます。あなたも触れないように注意してください。
夜釣りでは水面に光をあてない
これは言われないと分からないことだと思います。初心者でなくても知らない人がいますが、これはかなりやってはいけないことです。夜釣り専門の人の中にはこれをやられると怒り狂う人がたまにいますので気を付けましょう。
子供のライフジャケットは絶対に必要だ
安全な堤防でも子供が落ちたら終わりです、子供は何をしでかすのか予想が付きませんので必ずライフジャケットを着用させましょう。大人の場合はどんな所でもライフジャケットが必須だとは思いませんが、堤防にはまず這い上がれる場所はありません。ですので落ちた場合を想定して、釣り場に着いたらまず這い上がれる場所を見つけておくぐらいはやっておきましょう。
海に背を向けるな
沿岸には一定の周期で高い波が押し寄せます。穏やかだと思っていたのに想像もつかないような波が押し寄せるときがあるのです。海での死亡事故のニュースでときどきなぜこんな場所で波にさらわれたのだと思うようなケースがありますが、それはおそらくこのパターンなのでしょう。
海というものは本当に恐ろしいものです。今から自然を相手にするのだということを自覚しましょう。
水産庁のサイト
水産庁のサイトもまあまあ分かりやすいです。↓
遊漁のルールとマナー~海と川、魚との付き合い方~