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釣り糸の「引張強度」と「結節強度」と「強力」の意味

 「強度」は素材自体の性質、この場合は強さを表すもので、「強力」は完成した商品がどのくらいの負荷に耐えられるかを表したものです。素材自体の性質を知りたいのか、実際の商品について知りたいのかと言う事ですね。
 

引張強度

 繊維の話で単に強度と言えば引張強度をいいます。

引張強度

単位→1N/mm²、Mpa(メガパスカル)。炭素繊維ではMpaが主流

意味→切れた時に1mm²当たりどれだけの負荷がかかったか。1N/mm²=1Mpa。

 まず力学で使われる一般的な意味を知らなければいけません。引張強度とは素材を引っ張って破断させるために必要な力を単位面積で割った値です。引張強度の単位は1N/mm²または1Mpaで意味は同じです。つまりその素材が1mm²あたりどのくらいの負荷に耐えられるかと言うことです。
 ですので例えば2号の引張強度は〇〇という表現は間違いです。単位面積当たりの力ですから1号も2号も関係ありません。実際に釣り糸メーカーでは強度ではなく強力と書かれていますので見てみてください。
 なお、釣り業界では引張強度を直線強度ということもあります。

繊維の引張強度

 繊維のような細い素材は断面積を計りにくいので、直線強度を単位面積(1mm²)を用いるのではなく独特の値である繊度を用いて表す場合があります。論文や特許ではこちらの単位を使用することが多いです。 
 しかしながら製品の説明の時は普通に1N/mm²、Mpaが使われています。 
 PEラインの号数や引張強度はこっちの知識が大事になってきます。

繊維業界の引張強度

単位→cN/dtex(センチニュートン/デシテックス)

意味→切れた時に1dtx当たりどのくらいの負荷がかかったか

 繊維のような細い素材は断面積を計りにくいので、単位面積(1mm²)当たりの強さではなく独特の値である繊度で割った強さで表します。単位はcN/dtex(センチニュートン/デシテックス)です。
 さらに日本の釣り業界は独特で、PEラインの号数を決定するのに一昔前まで使われていた繊度の単位であるD(デニール)が使われます。

繊度とは

繊度とは

単位が二つある

・デシテックス(dtx)
意味→10000mで何gか→例:200gあれば200dtx

・デニール(D)
意味→9000mで何gか→例:200gあれば200D

主流はデシテックス

 繊維のようなとても細く太さが一定ではないものは直径や断面積を正確に計れないので、太さではなく重さを基準にして分けていきます。とてもややこしい考え方なので慣れるまで一苦労です。
 頭がこんがらがってきたら、最初はあまり意味を深く考えずにとにかく「10000mで何gか、例えば200gだと200dtxだ」とだけ覚えてください。

繊維の引張強度

 ややこしいのでまだまだしつこく解説します。下は例です。200dtxは200gあるということです。「1dtx当たりどれだけの負荷に耐えられるか?」というのが引張強度ですが、つまり1g当たりどのくらいの負荷に耐えられるかを計算すればいいのです。 
 1g君が200人集まって7kgのおもりを支えているとすると、1g君1人でどのくらいの重さを支えているかというイメージです。

繊度200dtxで強力7kgの糸の場合

意味→この糸は10000mで200gの糸である、そして7kgで切れる。

この糸の重さ→200g
1g当たりで耐えている重さ→7kg÷200≒35g
引張強度→35g/dtx、換算すると→34.3cN/dtx

※ちなみPEラインの標準グレードの0.8号~1.0号がこのぐらいです。

結節強度

 繊維に結び目を作ったときの強度です。繊維は結び目を作ると強度が引張強度の何パーセントかに落ちてしまいますので、自分が使用する釣り糸の結節強度は引張強度の何%かを知っておく必要があります。一例を載せておきます、各社だいたいよく似たようなものです。
 なお、釣り業界では引張強度を直線強度ということが多いですので下記の表にはそのように表記しました。

データ引用元ゴーセン

結節強度、直線強度比率
ナイロン約85%
フロロカーボン約70%
PE約40%
エステル約90%

強力

単位→lb(ポンド),kg

意味→その商品にどれだけの負荷をかけると切れるか

 「強度」とは切れた時の単位面積当たりの負荷ですが、「強力」は完成品の糸の話です。「サンラインの○○1号は何キロで切れる」とか「東レの○○2号は何キロで切れる」というようなことです。釣り具メーカーのカタログには実際に「強力」と表記してあります。強度ではありません。

号数とは

 号数は日本釣用品工業会が釣糸JAFS基準という基準を制定して、ほとんどの企業はそれに則って号数を決めています。釣糸JAFS基準遵守企業はクレハ、東レ、ピュア・フィッシング・ジャパン、山豊テグス、ワイ・ジー・ケー、ゴーセン 、サンライン、シマノ、グローブライド、バリバス、サンヨーナイロン、サーティーフォーなどで、糸を売っている有名企業は私の知る限りすべてですね。

ナイロン、フロロカーボン、エステルライン

 ナイロン、フロロカーボン、エステルラインの号数は直径に応じて決まっています。

号数の一例、データ引用元日本釣用品工業会

号柄標準直径(mm)
0.50.117
0.60.128
0.80.148
10.165
1.20.185
1.50.205
1.750.220
別表1より引用

1ナイロン糸・フロロカーボン糸・ポリエステル糸の太さ標準規格は、別表1を標準直径とする。
2ナイロン糸・フロロカーボン糸・ポリエステル糸の許容範囲は、上限・下限の直径が、前後の号柄の標準直径を追い越さないものとする。ただし、実直径は、限りなく標準直径に近付けることとする。
3強度等に関しては、各企業の裁量に委ねる。
4標準直径の計測方法は、製品の一点を三方向から計測した平均値とする。

PEライン

PEラインの号数はデニールに応じて決まっています。

PEラインの号数一例、データ引用元日本釣用品工業会

号柄標準値(D)
0.6120
0.7140
0.8160
1200
1.2240
1.5300
1.7340
別表1より引用

1 PE糸の太さ標準規格は、別表1を標準値とする。
2 この規格は、PE100%糸のものであり、コーティング・顔料を含むトータルデニールである。
3 PE糸の太さ標準規格は、単位のデニール(d)表示を使用し、1号=200dとする。
4 PE糸の許容範囲は、上限・下限のデニールが、前後の号柄の標準値を追い越さないものとする。
5 d(denier)とは、長さ9000m当たりの質量をグラム単位をもって表したものである。(200d=200g)

同じ号数でも各社によって太さに幅がある


・ナイロン1号:標準直径は0.165、範囲が0.148~0.185ならOK
・ナイロン0.8号:標準直径は0.148、範囲が直径0.128~0.165ならOK
→重なっている範囲は1号とでも0.8号とでも言えてしまう。しかしながら、実直径は限りなく標準直径に近付けなければいけないというルールがあるので各社大体同じ太さになる。


・PEライン→上と同じ理屈だが、限りなく標準値に近づけなければいけないというルールがないので各社によってばらつきが大きい。さらにコーティングなどの重さもデニールに加えなくてはいけないので商品によって強力にばらつきが出てくる。さらにさらに、デニールではなく見た目の太さとなると、各社のばらつきがあっても仕方がない。

 ナイロン、フロロカーボン、エステルラインの表の説明2とPEラインの同4を見てください。前後の標準値を越してはいけないと書いています。例えばナイロン1号だと直径0.148~0.185の範囲に収まっていれば1号と名乗っていいということです。つまり同じ太さでもメーカーによって0.8号と名乗ってもいいし1号と名乗ってもいいということです。これが同じ号数でもメーカーによって太さが違う原因です。
 とはいえ、ナイロン、フロロ、エステルの場合は「標準直径に限りなく近づけることとする」と決められているので、メーカーによってそれほどばらつきはありません。しかしPEラインはそのルールがないので同じ号数でも各メーカーによって大きな違いが出てきてしまうのです。

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