誰も教えてくれないPEラインの基礎知識

2020-07-10

PEラインの基本的な知識をまとめました、1万文字を超える長文ですが最後まで読んでいただけるとPEラインの基礎知識は一通りすっきりと頭に入ると思います。

PEラインとは

PEラインとは「超高分子量ポリエチレン繊維」という繊維でできた「原糸」を複数本編み込んでできた釣り糸です。

強度が極めて高く、同じ号数のナイロンラインの2.5倍~3.5倍の強さがあり、ほとんど伸びないので超高感度という性質があります。また、ナイロンラインが水を吸って強度が低下してしまうのに対し、PEラインは給水率がゼロなので水中においても強度が低下することもなく非常に耐久性にすぐれています。

そのような優れた特性は、まさに釣りをするためにあるようなもので、2000年ころから爆発的に普及して、現在はあらゆるジャンルの釣りのメインラインとして、ナイロンラインにとって代わるほどの活躍をみせています。

「超高分子量ポリエチレン繊維は」1963年にオランダでペニングス博士が研究を始め、後に東洋紡とオランダDSM社の共同開発により実用化したスーパー繊維です。

日本では、東洋紡が1991年に「ダイニーマ」という名前で発売し、現在では世界展開を視野に入れ「IZANAS®」という名前に変更して販売されています。

各釣具メーカーは東洋紡からこのIZANASを買ってきて編み込むことで最終製品に仕上げるというかたちです。

他には米ハネウェル社の「スペクトラ」というものもありますが、これはシマノから販売されているパワープロという商品に使用されています。箱を見てみると、「IZANAS®」ではなく「Spectra®」と書かれています。とはいうものの、日本のメーカーでスペクトラのPEラインを販売しているのはシマノだけです。

なお編み込み技術は全てのメーカーが有しているわけではなく、技術を持たないメーカーは編み込み技術を持った企業に製造委託しています。

PEラインの素材

PEラインは超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)から作られた、「超高分子量ポリエチレン繊維」でできています。

超高分子量ポリエチレン繊維は東洋紡が[IZANAS®」という商標で販売していて、SK61とそれより強度の高いSK71というものがあります。2017年にさらに強度の高いものが発売されましたが、それが釣り糸業界に導入されているかは不明です。また、東洋紡にはSK61とSK71以外にもIZANAS という商標がついていない超高分子量ポリエチレン繊維もあります。

また、「超高分子量ポリエチレン繊維」は「スーパー繊維」と呼ばれるものに分類されていて、スーパー繊維は他にはアラミド繊維などもあります。実は、炭素繊維もスーパー繊維です。

超高分子量ポリエチレン繊維とは

では、このネット上でよく目にする超高分子量ポリエチレン繊維とは何なのでしょうか?

ざっくり言えば

超高分子量ポリエチレンを

ゲル紡糸法という技術で、繊維にしたもの

です。

①超高分子量ポリエチレン

超高分子量ポリエチレンは繊維だけでなく、固化されたいわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックとしても活躍しています。

これは、プラスチックの中でもトップクラスの耐衝撃性があり(ポリカーボネートをしのぐと言われる)、機械的強度と耐摩耗性にも優れ、コンベアのガイドや、人工骨、歯車、スケート場床板、など強度が必要なものに使われています。

超高分子量ポリエチレンは分子量を高めることによってこの優れた特性を獲得しています。普通のポリエチレンが分子量が1万~30万程度なのに対して、超高分子量ポリエチレンは100万~700万ぐらいあります。

「じゃあこのすごいポリエチレンで繊維を作ったら、すごい繊維ができるんじゃないの?」ということですが、そんな簡単なにはいかなかったんですね。

その理由は、分子量が上がると熱で溶かした時の粘度が高くなってしまい、ナイロンやポリエステルやフロロののように「溶かして、小さいノズルから出して糸を作る」ということができなくなるからです。

➁ゲル紡糸法

そこで、「ゲル紡糸法」という方法で繊維を作ることになったんです。

ざっくり言うと、「ゲル紡糸法」というのは、まず熱ではなく溶剤に超高分子量ポリエチレンを溶かして、それをノズルから押し出して、ゲル状になった繊維を溶剤を除去しながらさらに高倍率に延伸して完成させる技術です。

言葉でいうと一瞬ですがこの技術は非常にむずかしく、1963年にオランダのペニングス博士が研究を始め、1984年に東洋紡と手を組み、1991年にやっとこさ販売開始といことになりました。

この技術はまだまだ発展している途中であり、高強度のものを開発する余地はあるみたいです。夢のある話です。

PEラインの特徴 

  1. 強度が極めて高い 同じ号数のナイロンやフロロカーボンの2.5倍~3.5倍
  2. ほぼ伸びない 伸度がわずか4%(ナイロンは30%)で、けた違いの高感度
  3. 耐摩耗性が低い 
  4. 結節強度が低い 結節強度は40%~50%で、ナイロンの80%前後に対して著しく低い
  5. 軽く水に浮く 比重が0.97、ちなみにナイロンは1.14、フロロカーボンは1.78
  6. しなやかでこしが無い イメージで言えばタコ糸みたいです
  7. 号数表示が変

では、1つ1つ解説していきます。

①強度が極めて高い

PEラインは強度が極めて高く、直線強力では同じ号数のナイロンやフロロの2.5倍~3.5倍という強さがあります。

ですので、同じ強さならば、ナイロンやフロロよりも細いラインを使えるということです。この特性はまず1992年以降に投げ釣りに革命を起こしました(ゴーセンから発売)。次に2000年以降ソルトルアーフィッシングのあいだで爆発的に普及しました。

東洋紡の超高分子量ポリエチレン繊維の生産量が跳ね上がったのもこのころです。

直線強力比較 例 1.0号

号数PEライン(lb)ナイロン(lb)フロロ(lb)
1.01344
※PEラインはダイワ「棚センサ―ブライトネオ」 ※ナイロン、フロロもダイワ

➁ほぼ伸びない

PEラインの伸度は4%です。釣り糸の場合、伸度というのは破断した時の伸度を意味しますのでPEラインは実用上はまったく伸びないといってもいいでしょう。

PEラインは低伸度なので感度が良く、それはもうナイロンやフロロの比ではありません。「ナイロンよりフロロの方が感度が良い」といったレベルの話ではなく、まったくのべつものです。

ナイロンではまったく分からなかったボトムの石ころがコツっと手元にはっきり伝わりますし。投げ釣りでは数十メートルさきの底質をとらえるといったナイロンやフロロでは不可能なことができます。

伸度比較

特性PEラインナイロンフロロ
伸度(%)2~425〜3023〜26
データ引用元ユニチカ

まさにけた違いです。

③実用上の耐摩耗性が低い

PEラインは実用上、耐摩耗性が低いです。

ここでなぜ「実用上は」という言葉を入れたかと言うと、PEラインは強いぶん細い糸を使うので耐摩耗性が低いのは当然だからです。

PEラインが普及していなかった時代にナイロンの4号を使ってたとしたら、今はPEライン1.5号くらいですむわけですよ。4号と1.5号を比べたらそりゃ1.5号の方が摩擦に弱いなんてことは当たり前ですよね。

釣り糸のように、水中で使ったり、空気中で使ったり、摩擦の相手がコンクリートであったり、岩であったり、ガイドであったりするようなものを単純に「○○ラインが摩耗に強い。」という評価がなぜできるのでしょうか。

私自身20年近くPEラインを使用していますが、現場で使っていて
「やっぱPEラインはナイロンより根ずれに弱いわー」
というのを実感したことはありません。

そもそも細いPEラインを使う時は、
「細いPEラインを使っているので太いリーダーをつけないとすぐ切れちゃうね」
ということでリーダーを付けますから。

2号以上のPEなら直結ですますこともよくあります。

PEラインの耐摩耗性問題。これは、釣り人の思い込みが独り歩きしたパターンである可能性が高いと私は思っています。

サンラインの特許出願を載せておきます↓

参考サイト

④結節強度が低い

PEラインの結束強度

PEラインの結節強度は40%~50%で、ナイロンやフロロと比べて著しく低いです。

結節強度とはノットを作った時の強度のことで、PEラインの場合一回結べば強度が半分以下になってしまうということです。

PEラインにはやたらに難しそうなノットが数多く存在するのはこのためです。ある程度の知識と鍛錬がないと使いこなせないのもPEラインの大きな特徴のひとつです。

結節強度比較

特性PEラインナイロンフロロ
結節強度約40%約85%約70%
データ引用元ゴーセン

⑤軽く水に浮く

比重が0.97で1.0未満です、これは水に浮くことを意味します。また海水の比重が1.02強なので海水にも浮きます。ナイロン、フロロ、ポリエステルの中で比重1.0を下回るのはPEラインだけです。

この軽いという特性は、飛距離を最も重視する投げ釣り界に革命を起こしたのですが、それ以外のほとんどの釣りでは風に弱く水に浮くということで、デメリットとなっています。

ちなみに軽いというのはロープ業界にとってはものすごいメリットです。

比重

特性PEラインナイロンフロロ
比重0.971.141.78
データ引用元ゴーセン

➅しなやかでこしが無い 

しなやかと言っても「ナイロンはフロロよりしなやかである」といったレベルではなくまるでタコ糸のように腰がありません。

しなやかすぎると、穂先にからんだりフックに絡んだりします。このトラブルは「PEラインのデメリット」になりえるほど頻繁に起こります。また、非常に絡みをなおしにくく、一度結び目がついてしまうとほどくのが不可能です。

前述の軽いということと、この絡みの起こりやすさがPEラインがいまいち磯釣りで普及しない理由でもあります。

⑦号数表示が変

PEラインの号数は、他のラインとちがう決め方になっています。

ナイロン、フロロ、ポリエステルは糸の直径で号数が決まっていますが、PEラインの号数は重さで決まっています。単位はグラムやキログラムとかではなく「デニール」という単位が用いられます。

デニールというのは9000メートルで何グラムあるかという意味です。当然軽ければ細いということになります。
9000メートルで1グラムのものを「1d」とかいて「1デニール」と呼びます。

そしてこういう測り方をしたものを「繊度」といいます。

なぜこんな変な決め方をするのかと言うと、PEラインは細い繊維がたくさん集まったマルチフィラメントという構造なので、直径が正確にはかれないからです。

ちなみに、PEラインの1号は200デニールと日本釣用品工業会によって決められています。9000メートルで200グラムあるラインという意味ですね。

また、PEラインが商品によって太さが違うのはこのためです。同じ号数のものでもしっかりと編み込めば細くなりますので。

最後に一覧表を載せておきます、ユニチカさんが一番詳しいので引用させていただきました↓
注:フロロカーボンの結節強度はおそらく記入ミスだと思います

特性ナイロンフロロカーボンPE
比重(g/cm³)1.141.780.96〜0.98
吸水率(%)8〜1000
屈折率1.581.421.54
引張強度(g/d)7~104~630~40
結節強度(g/d)6~94~615〜20
伸度(%)25〜3023〜262〜4
湿潤強力比(%)87〜94100100
湿潤伸度(%)28〜4517〜373〜5
湿潤ヤング率(kg/m²)80〜130130〜1904000〜6000
データ引用元ユニチカ

PEラインの構造

PEラインは原糸を編んでできています

PEラインは、超高分子量ポリエチレン繊維を複数束ねてできた「原糸」を4本や8本編み込んでできています。

「原糸」については少し下で詳しく解説します。

超高分子量ポリエチレン繊維を数十本から数百本束ねた物を「原糸」と呼

それを

4本や8本編み込んでPEラインになる

という事です。

つまり、PEラインは数十本から数百本の超高分子量ポリエチレン繊維でできているということです。

ですので、「4本編みは4本の繊維でできていて、8本編みは8本の繊維でできている」というのは誤りです。この間違いはネット上でほんとによく目にします。

PEラインはマルチフィラメントです

上記で述べた通り、複数の繊維でできた構造をマルチフィラメントと言います

しかし、もう少し説明が必要です。「フィラメント」とは何かということです。フィラメントとは長い1本の連続した繊維で「長繊維」とも呼ばれています。その代表は絹です。

イメージがわかないと思いますので、「じゃあ短繊維もあるの」という質問に答えます。答えはあります。短繊維で身近なものに綿があります、綿の細かい繊維を紡績して糸を作るのです。短繊維は「ステープル」と呼ばれます。

✔️ナイロンラインはモノフィラメント

話をひとつ戻して、フィラメント(長繊維)にも超有名なものがあります。ナイロンラインです、ナイロンラインはPEラインと違い1本のフィラメントでできています。

そう、つまりナイロンラインは「モノフィラメントライン」ですよく聞きますよね。対してPEラインは「マルチフィラメントライン」ということです。

4本編みのメリット、デメリット

✔️メリット

結論からいって4本編みでも全く問題ありません。「PEラインって高そうだなぁ」と思う人は迷わず4本編みにしましょう。

4本編みの最大のメリットは安いことです。今やPEラインはナイロンと同じような感覚で買えてしまうほど安くなっています。

さらにもう一歩ふみこんで、安ければどんなメリットがあるかというと、しょっちゅう新しいラインに交換して常にきれいなラインをスプールに巻いておけることです。

私は使い続けてガサガサになった高いPEラインよりも、安くても新しいピカピカのPEラインのほうがいいというスタイルです。

少し前まではPEラインは高級品でした、ですのでPEラインをナイロンのように消費するというのは長年の夢でした。いい時代になりましたね。

✔️デメリット

デメリットはあまり見つからないんですが、8本編みや12本編みに比べて表面が凸凹しているので飛距離が落ちるという事と、あと糸鳴りがするという話があるんですが糸が鳴って何が損するのかはよくわかりません。

とはいうものの飛距離を伸ばす要因は糸の太さのほうが大きいので、投げ釣りのように究極に飛距離にこだわるのでなければ、それほど気にする必要もないかと思います。

8本編み、12本編みのメリット、デメリット

✔️メリット

編み数が多いほど表面が滑らかで飛距離がでることと、同じ号数なら直線強力が高いことです。

✔️デメリット

値段が高いこと以外にあまりデメリットはないのですが、編み数が多いほど水を吸いやすく使っていると飛距離が落ちるという方がちょくちょくいらっしゃいます。

ちなみに、当然なんの釣りをするのかにもよるのでしょうが、私はそのように感じたことはありません。

以上がそれぞれのメリットデメリットですが、うーんどうしてもこの項目は歯切れが悪くなってっしまいます。どうしても4本編みの決定的なデメリットが見つからないんですね。

最後に参考になるサイトです↓

原糸とは

原糸とは、PEラインを編み込む前の糸です。各メーカーは原糸を東洋紡から買ってきて編み込んでPEラインをつくります。

超高分子量ポリエチレン繊維はまるで蜘蛛の糸のような極細の繊維です。これをなにかに使えるようにするには複数本(数十~数百本)まとめて糸といえる状態の製品に仕上げなければいけません。

そして、「超高分子量ポリエチレン繊維」の本数を変えることによって、様々な太さの原糸に仕上げます。ここまでが東洋紡がやることです

東洋紡は「IZANAS®」という商標で販売しています。東洋紡によればIZANASというネーミングは日本の古来の神であるイザナギ、イザナミからとったということです。

ちなみに、東洋紡はIZANAS という商標名をつけていない別の超高分子量ポリエチレン繊維も販売しています。こっちのほうはさらに強烈な強度のようです。

原糸のグレード

東洋紡の超高分子量ポリエチレン繊維であるIZANASには「SK61」とさらに高強度の「SK71」があります。

標準グレードのPEラインには「SK61」、グレードの高いものには「SK71」が使われています。

また、フィラメント1本の太さが太いSK71なんてものも最近使われています。

グレード強度(cN/dtex)
SK6126以上
SK7135以上
データ元『IZANASの基本性能』東洋紡

ちなみに東洋紡は、2017年にSK71よりも高強度の超高分子量ポリエチレン繊維の販売を開始しています。

繊維ニュースというサイトの記事が面白いです。↓

ダイニーマから商標変更するイザナスでは、オランダ・DSMとの製造合弁である日本ダイニーマの生産設備(東洋紡の敦賀事業所内)4系列中、1系列に新技術を導入。既存の高強度タイプに比べ、さらに強度を20~30%高め(40~45センチニュートン/デシテックス)、耐摩耗性も向上した新製品を17年4月から本格販売する。生産能力は変わらない。

『東洋紡/高強力ポリエチ増強/商標変更し海外本格化』2016年01月28日繊維ニュース

しかし、この新製品が釣り糸業界に導入されているのかは不明ですが夢のある話です。

ちなみに、よつあみの「リアルデシテックス」もギアラボの「EXXA0.3 」もこれではないということは言っておきます。

原糸の太さは何で決まる?

原糸の太さは主に超高分子量ポリエチレン繊維(フィラメント)の本数で決まります。

以下はIZANASの代表銘柄です、様々な太さのものを取り揃えています。

IZANASの代表銘柄

デシテックスフィラメント本数SK61SK71
5548
8570
11096
14096
165140
220192
275192
330280
440390
13201170
17601560
データ元『IZANAS代表銘柄』東洋紡

表の一番左の「デシテックス」というのは10000メートルあたりの重さという意味です。次にフィラメントの本数を見てください、いろいろありますね、つまりフィラメントの本数を変える事によって、原糸の太さを変えているわけです。

よく見ると例外もありまして、例えば「110」と「140」という銘柄を見てください、本数が同じなのに重さがちがいます。ということは、フィラメント一本当たりの太さが「140」のほうが太いということになります。

この繊維の太さを表わすものを「繊度」といいます。単位はデシテックスとデニールの二通りがあります。

イザナスとダイニーマとスペクトラの違い

大雑把に説明すると、イザナスとダイニーマは東洋紡とオランダのDSM社が開発したもので、スペクトラはアメリカのハネウェル社が東洋紡とDSMからライセンスを受けて生産しているものです。

実際は特許を管理しているだけの会社が間にいたりするので、上記の説明はざっくりしたものですのでご了承ください。

✔️ダイニーマ(Dyneema)

イザナスも数年前まではダイニーマという名前でした。要するに同じものです。

ただし、一部東洋紡だけが採用している技術もありますが。

ダイニーマ(Dyneema)はもともとはオランダのDSM社が研究をスタートし、後に東洋紡が加わって共同開発したものです。日本では現在「IZANAS®」という商標で東洋紡が販売しています。

ダイニーマの名前の由来は、まずDSM社がギリシャ語で強さを意味する「dynami」と繊維を意味する「ina」を合わせて「Dynema」という名前を作ったところ、「東洋紡から『ダイ』は大根足を思ってしまうし、『二』は数字の2を思ってしまう、我々はナンバーワンを目指している」という注文が入りました。そこで、「e」をもう一個足して「Dyneema」にしようということでそれに決定したと言われています。
※「ina」の方は間違ってたらごめんなさい。ギリシャ語はややこしすぎます。

当事者でないといまいちよく分からないやり取りですが、確かにeをもう一個足したほうがなんとなくかっこいい気はします。

✔️イザナス(IZANAS)

東洋紡はこれまで日本国内で「Dyneema」を販売していましたが、2016年4月に商標を「Dyneema」から「IZANAS®」に変更して世界展開していく事を決めました。

東洋紡とDSM社はもともと共存していく道を模索していたのですが、どうなんでしょうか?東洋紡がイケイケになったのでしょうか?そこら辺の事情は分かりようがありませんが、私としてはメイドインジャパンを応援します。

ひとつ分かっていることは、釣り糸に関してはYGKよつあみが世界シェアで1位2位を争っているということなので、必然的に釣り糸の分野では「Dyneema」ではなく「IZANAS®」が主流になっているということになりますね。

✔️スペクトラ(Spectra)

実はスペクトラも、DSM社にライセンス料を払って製造しています。

ようするに、技術的にはDSM社と東洋紡が1強です。あくまで特許の話ですが。

スペクトラはアメリカのハネウェル社(Honeywell)が作っています。この会社は、アライドシグナルという会社がハネウェル社を買収してできた会社ですが、アライドシグナル時代にDSM社に特許侵害で訴えられて敗訴し、それ以来DSM社にライセンス料を支払って、スペクトラを生産しています。

注:現在ゲル紡糸法などの特許が切れていますのでその辺については調査中です。ちなみにシマノに問い合わせたところ「回答できない」というそっけない回答が返ってきましたが、「隠す事とちがうやろ」と思います。

シマノのPEライン買うのや~めた

PS 品質は確かなので、よつあみさんから直接買うか、スペック表示でインチキしないサンラインさんから買いましょう👍

シマノは世間では「技術はあるが宣伝が下手」というような企業イメージだと思いますが、なにか問い合わせてみると意外にダイワのほうが技術者魂を感じさせてくれるんですよね。

PEラインの歴史

がらっと話が変わって、PEラインの歴史です。歴史を知ると複雑なPEラインのことが明確に理解でき、頭がすっきりしてきます。

よつあみのテクミロンのPEライン
ゴーセンのテクミロンのPEライン

1985年以降に三菱石油化学のテクミロンを使用した、日本初のPEラインが誕生しました。1993年に特許係争が理由で撤退し、東洋紡が独占的地位を確立しました。

1964年 超高分子量ポリエチレン繊維の元が発明される

✔️1964年 オランダで超高分子量ポリエチレンの繊維状の結晶化に成功

1964年 オランダのDSM社のアルバート・J・ペニングスがポリエチレンの繊維状の結晶化に成功する。これは、超高分子量ポリエチレン繊維の歴史の始まりであった。

1970年 ペニングスはグローニンゲン大学に移り、ほどなくして表面成長法を開発し連続して糸を引き出すことに成功する。これは、現在のゲル紡糸法につながる極めて重要なできことであったしかしこれは、毎分数センチしか生産できず、厚みも均一ではなかった。

✔️1978年から1979年ごろ ついにゲル紡糸法が開発される(ペニングス特許係争に負ける!)

1978年~1979年 ペニングスの生徒であったポール・スミスがDSMに入社してレムストラとともに、現在の超高分子量ポリエチレン繊維の製造技術である「ゲル紡糸法」を開発する。

1980年 DSM社がゲル紡糸ほうの特許を取得する。しかし、この技術はペニングスの表面成長法のアイデアから生まれた物であったため、DSM社とペニングスとの間に係争が起こりペニングスが負け、DSM社との関係は終わる。

1980年以降 DSM社は「繊維技術」を持たなかったためゲル紡糸法の開発成功から5年たっても事業化できず、外部パートナーを探すのが課題となっていた。

✔️そのころ日本では、水面下で東洋紡が動き始める

1981年6月 東洋紡はすでに、「ゲル紡糸法という技術で超高強力繊維を作れる」という情報を仕入れていた、そしてさっそくトレースし事業化が可能であると確認する。 

1982年10月 東洋紡はDSMの関連会社を通じて、ライセンス供与の打診をする。

✔️1984年 DSM社と東洋紡との間で共同開発契約が締結

1984年 東洋紡はDSM社からの打診に応じ、共同開発契約を結ぶ。

同年10月 東洋紡は「パウダー直接溶解法」という事業化につながる重要な技術を開発する。

1985年 上記以外にも1984年から1985年の間にさまざまな革新的技術が開発され、その結果オランダ人が開発した初期の「ゲル紡糸法」の1000倍の生産効率を獲得する

✔️1991年 ダイニーマの本格生産スタート

1991年 事業化に伴い日本ダイニーマ株式会社を設立。それぞれの会社から役員を2名ずつで、東洋紡側の役員が代表取締役となった。本社は東洋紡にあり、工場は福井県敦賀事業所と滋賀県堅田研究所内にある

✔️1993年 東洋紡がテクミロンとの特許をめぐる訴訟に勝ち、日本唯一になる

1993年 東洋紡と三井石油化学工業は後者の製造する「テクミロン」をめぐって数年間特許バトルを繰り広げていたのだが。1993年に協定和解により三井石油化学工業は撤退し、東洋紡の「ダイニーマ(現在はIZANASに改名)」が日本で唯一の超高分子量ポリエチレン繊維となった。

三井石油化学工業の「テクミロン」は1985年から、釣り糸や手袋などの用途で東洋紡に勝っていた。しかし、1993年にテクミロンが撤退するにともない東洋紡は、三井石油化学工業が受け持っていた釣り糸や手袋の市場を受け継ぐことになった。

ちなみにそれ以前は、三井石油化学工業のテクミロンは大手2社に原糸を販売していて、ダイニーマはその他のメーカーに少量販売しているだけであった。

ゴーセンに「テクミー」という商品があるのはそのなごりだとおもわれる。

1990年代初頭 PEライン誕生

テクミロンが撤退したのが1993年なので、PEラインは1993年にはすでにあったということは確実に言えるのだが、ではそれ以前のテクミロンでできたPEラインはいつから存在したのだろうか。

残念ながらはっきりとしたものが見つからなかった、しかし1992年にゴーセンから「砂紋」という投げ釣り用のPEラインがでている。

「砂紋」は1992年に投げ釣りジャンル初の国産PEラインとして発売され、投げ釣りジャンルに革命をもたらしたブランドです。「砂紋」は1992年に投げ釣りジャンル初の国産PEラインとして発売され、投げ釣りジャンルに革命をもたらしたブランドです。

『【目指したのは「投」の新たなる頂点】投げ釣り用PEライン「砂紋 PE×8」「砂紋 PE×4」登場!2020年4月上旬販売開始』PRTIMES

ということは1992年以前にはPEラインはあったことになる。

2000年 PEラインが爆発的に普及

1990年代後半に市民権を得て、2000年からシーバス釣りを中心に爆発的に普及することになる。

私はちょうどそのころ沖縄に住んでいてPEラインを使いはじめたのですが、結び方などはシーバス釣りから情報を得ていました。

ちなみに、当時シーバスで定番であったオルブライトノットというクソノットには何回も泣かされましたけどね。

以上がPEラインの歴史です。

参考資料

元も子もないんですがここを見れば全部書いています。よろしければ見てください。pdfのリンクを貼る方法を知らないので、下の文字をそのままコピペして検索してください。

経営資源の保管を目指した日蘭合弁事業 超高強力ポリエチレン繊維「ダイニーマ®(Dyneema)」の開発 星野雄介 清水洋

最後に

長文を最後まで読んでいただいてありがとうございます。この記事は、関係者への問い合わせ、出どころのはっきりしている専門家の論文、特許情報などをもとに、しっかり裏を取って作成しました。

あと経験談などは、すべて私本人の経験であり、アマゾンのレビューやヤフー知恵袋やまとめ記事などからひっぱってきたものではありません。

ただし誤字脱字、数字の挿入ミスなどがあればご容赦下さい。

PEラインに関してはあまりにネット上で間違った情報が氾濫していますので、この記事がお役に立てたら心からうれしいです。

ではよい釣りを

ライン

Posted by UL&GT