【基礎の基礎】PEラインとリーダーの太さの計算方法
「PEラインに結ぶリーダーの太さをきっちりと決めたいが、一体どうやればいいか分からない、根拠のない、一覧表や「道糸の○○の」説といった事をうのみにしたくない。」といった方も多いと思います。
この記事では、リーダーの正確な選び方が分かるように書きました。
厳密な計算をもとにシステムを組んでいきますので、少々読み応えのある記事になってしまいましたが
時間のある時にでもじっくり読んでいただければ幸いです。
- 1. PEラインとリーダーの太さは自分で計算して決めよう。
- 2. まず、ラインシステムの基本を理解しよう
- 3. 「摩擦系ノット」と「結び系ノット」では計算方法がちがいますので、それぞれについて解説します。
- 4. ①摩擦系ノットの結節強力
- 5. ➁結び系ノットの結節強力
- 6. 実際の計算例(図あります)【例をいくつか挙げます】
- 7. 【例1】PRノット(メイン:PE1号15ポンド)(リーダー:ナイロン4号16ポンド)(PRノット)
- 8. 【例2】結び系ノット(メイン:PE1号15ポンド)(リーダー:ナイロン4号16ポンド)(ダブルライン:ビミニツイスト)
- 9. リーダーの太さを決める
- 10. 手順①:ラインブレイクした時にどこで切れるべきかを決めてください。
- 11. 手順➁:①の考えに基づいて、メインラインに合わせてリーダーの太さを決める
- 12. 基本が分かれば、自由にラインシステムを設計できます。
PEラインとリーダーの太さは自分で計算して決めよう。
リーダーの太さは自分で計算して、自由に決めてください。ネットにあふれている一覧表を参考にする必要はありません。
よく言われる「道糸の○○倍」説も根拠がありませんので気にする必要なしです。
自分のラインシステムは自分が好きなように決められるようになりましょう。
そのためには強さなどの計算方法を知ることが必要です。
では今回はそれについて解説させて頂きます。
まず、ラインシステムの基本を理解しよう
ラインシステムの基本を理解するためには次の五つの強度を知る必要があります。
あっ、イラストにかきますので言葉を全部覚えなくても大丈夫ですよ。
- PEラインの直線強力
- ノット内のPEラインの結節強力
- リーダーの直線強力
- ノット内のリーダーの結束強力
- ルアーに結んであるところの強さ
「摩擦系ノット」と「結び系ノット」では計算方法がちがいますので、それぞれについて解説します。
ノットの種類は大きく分けると以下の二つに分けられます。それぞれ計算の仕方が異なります。
①摩擦系ノット
➁結び系ノット
では、この二つについて例と共に解説します。
①摩擦系ノットの結節強力
摩擦系ノットは、リーダーに対して、ぐるぐるとメインラインを巻きつけて摩擦の力で結束するというやり方です。結び目で止めているわけではないですので、ノット内のPEラインの結束強力を非常に高い値に保つことができます。
また、まっすぐな状態のリーダーにメインラインを巻きつけていきますので、ノットの内部ではリーダーは直線状になっています。ですので、リーダーの強度は落ちることはありません。
現在は、PRノットとFGノットが主流ですので、この二つを例にとって解説します。
まずはPRノットです。PRノットの場合PEの結節強力は80%~90%です。リーダーは直線のままなので、直線強力は100%です。図⇩
次はFGノットのです。FGノットの場合PEの結節強力は70%~80%です。リーダーは直線のままなので、直線強力は100%です。図⇩
➁結び系ノットの結節強力
結び系ノットは文字通り糸を結んでつなげますので、当然のことながら結び目ができます。
PEラインは一度結ぶと、強度が50%に低下します。ナイロンは一度結ぶと強度が80%に低下します。
そのままではPEラインの強度があまりにも低下してしまいますので、PEラインをダブルラインにして、リーダーと結束します。
現在では、摩擦系ノットに主力の座を奪われましたが、道具を使わずに結ぶことができますので、一種類でも覚えておくと、いざという時に役に立ちます。図⇩
鋭い方ならこう思うかもしれません、「いくらダブルラインにして、リーダーとの結束部分が強度100%になっても、結局PEのダブルラインの付け根(赤丸の部分)に結び目ができるんだから、そこの部分が、強度50%しか出ないんで、ダブルラインにする意味なくない?」と。
そう思った方は完璧に理解できておられます。
しかしです、赤い丸で囲まれたところが最重要ポイントです。よく見ると例えばビミニツイストの場合、結節強度が最低70%は出ています。
そうなんです、なぜか結び方によっては本来のPEライン結節強度である50%を超えてしまうんです。
ですので、いったんダブルラインを作ってから、リーダーに結束しようというわけです。
実際の計算例(図あります)【例をいくつか挙げます】
ここまでで、まだよくわからないところがあるかも知れません。しかし実際にラインシステムの強度を計算してみると、理解しやすいと思います。
では実際に例を挙げて計算してみます。
【例1】PRノット(メイン:PE1号15ポンド)(リーダー:ナイロン4号16ポンド)(PRノット)
ナイロンの結節強度は80%とします。PRノット時のPEラインの結節強度は80%とします。
つまり、このラインシステムは、リーダーとの結び目でPEライン側が、12ポンドの力で切れるという事になります。
【例2】結び系ノット(メイン:PE1号15ポンド)(リーダー:ナイロン4号16ポンド)(ダブルライン:ビミニツイスト)
ビミニツイスト時のPEラインの結節強度は70%とします。ナイロンの結節強度は80%とします。なお、リーダーとの結束はまともなノットであれば何でもいいです。
つまりこのラインシステムは、ダブルラインの付け根(赤い丸で囲まれたところ)が10.5ポンドの力で切れるという事です。
ラインシステムというものは、本来こういうふうにして決めていくものです。
根拠のない「メインラインの○○倍」説や何となくで作った一覧表に頼らなくても、あなたは自分のラインシステムを、自分の思い通りに組めるのです。
リーダーの太さを決める
さて、あなたはここまで、ラインシステムの基本を理解し、自分でラインシステムを設計できるようになりました。
では、いよいよリーダーの太さを具体的に決めましょう。
手順①:ラインブレイクした時にどこで切れるべきかを決めてください。
手順➁:①の考えに基づいて、メインラインに合わせてリーダーの太さを決める
手順①:ラインブレイクした時にどこで切れるべきかを決めてください。
これまでで、あなたはラインシステムのそれぞれの箇所の強力(「強度」とは意味が違いますよ)を計算する方法を知りました。
次は、大物がかかったり根掛かりしたりしてラインブレイクしたときに、どの部分で切れるようにするのか、実際に決める必要があります。
例えば、「リーダーとルアーとの結束部で切れるのか?リーダーとメインラインの結び目で切れるのか?高切れしてしまうリスクを負ってでも強度オーバーのシステムを組むのか?」
という事です。
✔私の場合
ちなみに、私はルアーとリーダーの結束部で切れるように設計しています。例えば、リーダーとメインラインの結束部で切れてしまうと、リーダーが数メートルにわたって海中を漂う事になってしまいます。それがいやなので、ルアーの部分で切れるようにしているわけです。
実際全てが理想通りにいくわけではありませんが、摩擦系ノットの出現によりかなりの精度でルアー側で切れてもらう事に成功しています。
手順➁:①の考えに基づいて、メインラインに合わせてリーダーの太さを決める
最後にリーダーの太さを決定しましょう。
まず、上記の計算方法に従い、メインラインのポンド数に応じてリーダーのポンド数を決めます。
「道糸がPE15ポンドでリーダーが○○ポンドだとここで切れちゃうな。そしたら○○ポンドにしたらどうなるかな?よしこれでいこう。」といったふうにです。
次に、自分が実際に使う商品のカタログやパッケージの裏に書いてある、ポンドと号数の対応表を見て最終的に号数を決定します。
基本が分かれば、自由にラインシステムを設計できます。
ここまでは基本的なことを解説させていただきました。
基本がわかりさえすれば、それぞれの人が自分の釣りに対応したやり方を見つけられるわけです。
たとえば、「とにかく根ずれのひどい釣りなので、ぶっといリーダーを使いたい、だから最初にリーダーを何にするか決めて、そのあとに道糸の太さを考える。」というやり方もありですし。
「自分の行く釣り場は根ずれもそんなにひどくないし、ターゲットにしている魚に糸を切られる心配もない。なので最低限の根ずれに耐えられたらそれでいいので、強度計算の必要なし、2号でいいや。」
というようなこともありです。
とは言うものの、基本的な知識があってこそこういった判断ができるので、やはり基本は大事です。
特にここまで読んでくれたほとんどの方は、「なんだかネットに乗っている一覧表や、無根拠な[リーダーは道糸の○○倍]といった話しに従いたくない」派だと思います。
ではお役に立てたら幸いです。