ブラックバスのリリース禁止、違反するとどうなるの?罰則は?逮捕されるの?
結論から言って、リリース禁止は違反しても逮捕されませんし、別にどうにもなりません。
ただし、よほどであれば罰則を受けるかもしれません
そのよほどというのも、わざと逮捕されるようなことをする愉快犯か、よほど頭のおかしい人でなければ罰則を受けることもないでしょう。
しかし残念ながら、そこまでやっても逮捕されることはありません。
では、どれほどひどければどのような罰則を受けるのか、都道府県別にみていきましょう。
ちょっとその前に 【基本の基本】キャッチアンドリリースは合法である
その前にキャッチアンドリリースは「外来生物法」で禁止されていません。
ですので、ブラックバスをリリースしても何の犯罪でもありません。ここだけは、まず理解しておいてください。
こっちのほうは法律です。↓
法律は違反するとやばいですが、キャッチアンドリリースは禁止していません。
【外来生物法】バス釣りで守るべき4つの禁止事項
環境省もわざわざ親切にもキャッチアンドリリースはOKと説明しています。↓
たとえば、特定外来生物を野外において捕まえた場合、持って帰ることは禁止されていますが(運搬することに該当)、その場ですぐに放すことは規制の対象とはなりません(釣りでいう「キャッチアンドリリース」も規制対象とはなりません)。
『日本の外来種対策 何が禁止されているの?』 環境省<自然環境局
驚きましたか?では、それをふまえて本題に入っていきます。
ブラックバスのリリース禁止、違反するとどうなるの?罰則は?逮捕されるの?
逮捕されませんし、罰則もあってないようなものです。
都道府県によって決まりは2種類あります
実はリリース禁止といっても条例だけでなく、各都道府県によって次の2種類があります。
①条例
➁内水面漁場管理委員会の指示
条例 | 滋賀県、佐賀県、熊本県江津湖、鹿児島県藺牟田池 |
内水面漁場管理委員会の指示 | 岩手、宮城、秋田、山形、栃木、群馬(スモールのみ)、埼玉、神奈川、新潟、長野、山梨、鳥取、広島(江の川水系) |
①条例とは
条例とは国の法律ではなく、都道府県が勝手に作った決まりです。
住民に選挙で選ばれた議員が、議会の議決を経て制定します。
一番有名なのが「琵琶湖の滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例」ですね。
➁内水面漁場管理委員会の指示とは
こっちのほうはおそらく初めて聞くというかたもいらっしゃるのではないでしょうか?
まず内水面漁場管理委員会とは知事に選任された、有識者や、漁業者の代表や、水産動植物を採捕する人の代表からなる組織です。だいたい10人くらいいます。
そして、この人たちは漁場の使用制限やら動植物の保護などの色々な事を、釣り人らに指示することができます。
それが、内水面管理委員会の指示です。この指示を守らない釣り人がいると委員会はこんどは、知事から釣り人に指示してもらうように知事にお願いします。知事の指示に従わない場合に裁判をへて有罪になれば懲役や罰金を受けることになります。
ここで大事なのが、あくまでも知事の指示に従わないという違反であって、キャッチアンドリリースが違反ということではありません。
ですので、ブラックバスをリリースしたということで警察を呼ばれたとしても逮捕されません。
条例でリリース禁止が定められている県と罰則
リリース禁止は条例だけで決まっていると思われがちですが、じつはリリース禁止の条例がある都道府県は主に2つしかありません。
・滋賀県 ・佐賀県 ・(その他)熊本県江津湖、鹿児島県藺牟田池
ではそれぞれの県について、罰則をみていきましょう。
滋賀県
罰則なしです。警察を呼ばれても大丈夫です。
✔条例名
滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例
✔罰則
なし
罰則がないので、もし警察を呼ばれても、警察はなにもできません。
基本的に警察は刑事事件で被害者が出た時にしか動きませんので、そんなアホなことで、国民の大切な税金で運営されている警察を呼ぶなってはなしです。
佐賀県
罰金も懲役もありません。逮捕もされません。ただし独自の罰則はあります。
✔条例名
佐賀県環境の保全と創造に関する条例 (第66条第1項)
✔罰則
知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、その者の氏名又は名称及び当該勧告の内容を公表することができる。 (第66条4項)
簡単に言えば、知事に氏名や名称を公表されてしまうということです。さらし者の刑ですね。
ただし、これは罰則の条項に書かれているものではありませんが罰則といえば罰則だとおもいます。
氏名の公表に至るまで次のような複数の手続きを挟みます。
✔️罰則までの流れ
知事にチクる
⇩
知事が注意する
≪第66条3項≫知事は、前2項の規定に違反した者に対し、その行為を中止し、又は相当の期限を定めて原状回復その他必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
それでもやめない場合
⇩
氏名を世間にさらされる。が、その前に本人に意見を述べる機会を与える。
≪第66条第5項≫知事は、前項の規定により公表しようとするときは、当該勧告を受けた者に対し、あらかじめその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
⇩
氏名公表
≪第66条第4項≫知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、その者の氏名又は名称及び当該勧告の内容を公表することができる。
以上
お魚をリリースしただけで知事から注意が来ることって、実際ありえるんでしょうか?万が一あったとしても、氏名を公表されたくなければ、「もうお魚をリリースするのはやめます」と、ひとこと謝ってください。
ただし、氏名を公表されたくなければの話しですので、もし「氏名公表カモン」という人がいればリリースし放題ということになってしまいますね。
熊本県江津湖
✔条例名
江津湖地域における特定外来生物等による生態系等に係る被害の防止に関する条例
✔罰則
住所、氏名の公表
指導、助言→勧告→住所氏名公表
という流れです。
鹿児島県藺牟田池
✔条例名
薩摩川内市藺牟田池自然公園施設条例
✔罰則
なし
罰則はありませんが、「市長は、前項の規定に違反した者に対し、その行為を中止し、又は必要な措置を講ずべきことを勧告することができる」とあります。
「内水面漁場管理委員会の指示」によるリリース禁止の県と罰則
以下の県が、条例ではなく、「内水面漁場管理委員会の指示」でリリースが禁止になっている県です。
・岩手県 ・宮城県 ・秋田県 ・山形県 ・栃木県 ・群馬県(スモールのみ) ・埼玉県
・神奈川県 ・新潟県 ・長野県 ・山梨県 ・鳥取県 ・広島県江ノ川水系
最終的に 1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金 になります。内水面漁場管理委員会うんぬんは漁業法で定められているので、上の県は全て共通です。
とはいうものの上でも述べたようにキャッチアンドリリース自体は違反ではないので、ブラックバスをリリースしても逮捕されません。
警察ではなく、内水面漁場管理委員会に指示されるだけです。
では、法律名と罰則を見ていきましょう。
✔法的根拠
漁業法で定められた「内水面漁場管理委員会」の指示(漁業法第六十七条第一項)(漁業法第百三十条)
✔罰則
1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金又は拘留もしくは科料が課せられます (漁業法第六十七条第十一項)(漁業法第百三十九条)
✔️罰則までの流れ
リリースしているところを内水面漁場管理委員会にばれて、「やめなさい」と指示される。
それでもやめない場合
⇩
当人にリリースをやめるように言ってほしいと、知事にお願いしに行く
≪漁業法第67条第8項≫第一項の指示を受けた者がこれに従わないときは、海区漁業調整委員会又は連合海区漁業調整委員会は、都道府県知事に対して、その者に当該指示に従うべきことを命ずべき旨を申請することができる。
それでもやめない場合
⇩
知事が当人に、15日以内に異議を申し立てるように催告する
≪漁業法第67条第9項、第10項≫9 都道府県知事は、前項の申請を受けたときは、その申請に係る者に対して、異議があれば一定の期間内に申し出るべき旨を催告しなければならない。10 前項の期間は、十五日を下ることができない。
異議の申し出がない場合
⇩
知事が当人にリリース禁止の指示に従うように命令する
≪漁業法第67条第11項≫第九項の場合において、同項の期間内に異議の申出がないとき又は異議の申出に理由がないときは、都道府県知事は、第八項の申請に係る者に対し、第一項の指示に従うべきことを命ずることができる。
命令に従わない場合
⇩
裁判
懲役、罰金、科料はいずれも刑罰ですので、裁判をしなければなりません。
≪憲法第三十一条≫何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
⇩
一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
≪漁業法第67条第11項≫第六十七条第十一項(第六十八条第四項において準用する場合を含む。)の規定に基づく命令に違反した者は、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
ちなみに、現在奈良県には刑務所がないです。
現実的にここまでになる事ってありえるんでしょうか?そもそもどうやって、その人がリリースしていることを証明するんでしょうか。
ちなみにリリースすること自体は法律違反ではありませんし何の罰則もありません。
ですので 当然、警察を呼ばれても警察は何もできません 。
まとめ
- キャッチアンドリリースは「外来生物法」で禁止されていない。
条例で決まっている県(主に2県)
- 琵琶湖: 罰則なし
- 佐賀県: 罰則あり、多くの手続きを踏んで氏名公表されるが、途中でリリースやめればOK
- (その他)鹿児島県藺牟田池、熊本県江津湖
内水面漁場管理委員会の指示で決まっている県(13県)
- 知事の「リリースやめろ」という指示に従わなければ最終的に懲役1年以下、罰金50万円以下
- 多くの手続きを踏むので途中で「従います」といえばOK
- リリース自体を禁止する法律ではないので、リリースしているところを警察に見られても逮捕されない
以上です、ありがとうございました。