fujiガイドの種類素材と特性一覧
ファズライトやSINやアルコナイトなど、日本未発売の物についても詳しく解説しました。もちろん日本で発売されているものも全て一覧にまとめました。ここをみれば富士ガイドの素材と特性がひととおり分かるようになっています。お役にたてれば幸いです。
トルザイト | SiC | SINⅡ | アルコナイト | ファズライト | “O"リング | |
---|---|---|---|---|---|---|
硬度Hv(Gpa) | 13~15 | 22~24 | 13~15 | 13~15 | 14 | 12~14 |
比重 | 3.3 | 3.2 | 3.2 | 4.2 | 3.8 | 3.8 |
熱伝導率W/m・K | 27 | 60 | 20 | 11 | 17 | 12 |
曲げ強度 | 1020 | 540 | 610 | 440 | 420 | 300 |
“O"リング
低グレードという印象があるかもしれませんが、釣りに必要な基本性能のハードルをすべてクリアした、一つの世界基準といっても過言ではないものです。
私はロッドビルディングが趣味なのである日試しに中国製のSiCとうたわれている物を使ってみたのですが、そのあとに"O"リングに戻るとそのあまりの滑らかさに感動すら覚えたということがありました。
- 素材
- 酸化アルミニウム
- 硬度Hv(Gpa)
- 12~14
- 比重
- 3.8
- 熱伝導率W/m・K
- 12
- 曲げ強度
- 300
素材:酸化アルミニウム
英語で言えばアルミニウムオキサイド、セラミックス業界ではアルミナと呼ばれることが多いです。
酸化アルミニウムはファインセラミックスの代表格で、絶縁性、耐摩耗性、高い強度を備え電気製品や産業機械部品などに広く使われています。
硬度:12~14
SiC>トルザイト>SiNⅡ、アルコナイト、ファズライト>"O"リング
砂で削れる硬さではないのでPEラインを使用しても大丈夫。
比重:3.8
(左から軽さの順に↓)
SiC、SiNⅡ>トルザイト>"O"リング、ファズライト>アルコナイト
アルコナイトより軽いです。
熱伝導率:13
SiC>トルザイト>SiNⅡ>ファズライト>"O"リング>アルコナイト
アルコナイトより熱伝導率がいいです。
曲げ強度:300
トルザイト>SiNⅡ>SiC>アルコナイト>ファズライト>"O"リング
曲げ強度はもっとも弱いです。
アルコナイト
アルコナイトについては別の記事で詳しく書きましたのでそこから引用します。
アルコナイトの素材、特徴、メリットデメリットについて詳しく解説しました。
アルコナイトガイドとは
スペックが"O"リングとそれほど変わらないのと"O"リングがすでに素晴らしすぎるということで存在価値がよくわからないのですが、明確なメリットがひとつあって、それはKガイドのラインナップがあるということです。日本だとKガイドが欲しければSiCかトルザイトにしなければならずかなりコストがアップしてしまいますので、安くKガイドが手に入る、もしくはKガイド搭載の釣竿が安く買えるのはかなり嬉しいポイントです。
アルコナイトガイドとは
次に、スペック的に"O"リングと比べて何かメリットがあるとすれば何でしょうか?それがいくら考えても思いつかないんですね。一応アメリカでは"O"リングに比べて20%軽いといううたい文句で売られています。
強度が高いので薄く作れるという理屈なのかもしれません。しかしその効果はかなり疑わしくて、ガイドリングの軽量化などは本当に微々たるもので、いくら長いロッドの先に付けると言っても影響はないでしょう。
ちなみにトルザイトはかなり薄く作ることができるので同じサイズでも内径が大きくなる、それによってガイドのサイズ自体をワンサイズダウンできるのでかなりの軽量化につながるという理屈です。アルコナイトはそこまでの強度はありませんのでそのやり方はできません。
アルコナイト。これは多分にマーケティング戦略のために作ったラインナップという可能性がありますね。アメリカ人はあまりSiCを欲しがらないので、"O"リングより少し高いのが欲しいという消費者からの希望が出てくるのも自然の流れと言えます。
これにはシマノがいち早く便乗しているようで、それもそのはずほとんどコストを上げることなくひとつ上のグレードの商品に見せかけることができるのですから。
日本においては消費者のメリットよりも釣り具メーカーのメリットのためにあると言えるでしょう。もちろん富士工業には罪はありません。
- 素材
- ジルコニア強化アルミナの可能性あり
- 硬度Hv(Gpa)
- 13~15
- 比重
- 4.2
- 熱伝導率W/m・K
- 11
- 曲げ強度
- 440
素材:不明、ジルコニア強化アルミナかも
不明、ジルコニア強化アルミナだと思われるがメーカーは企業秘密にしているので断定できない。
硬度:13~15
SiC>トルザイト>SiNⅡ、アルコナイト、ファズライト>"O"リング
トルザイトと同じ硬度です。
比重:4.2
(左から軽さの順に↓)
SiC、SiNⅡ>トルザイト>"O"リング、ファズライト>アルコナイト
比重はもっとも重いです。しかしこれをもってアルコナイトガイドは重いということにはなりません。
熱伝導率:11
SiC>トルザイト>SiNⅡ>ファズライト>"O"リング>アルコナイト
アルコナイトの熱伝導率は最も低く"O"リングよりも劣ります。
曲げ強度:440
トルザイト>SiNⅡ>SiC>アルコナイト>ファズライト>"O"リング
“O"リングより明確に優れている部分といえばここでしょう。しかし、その他の上位グレードのものには及びません。
SiC
スペック実績ともに最高峰のガイドです。SiCがでてきて数十年経っていますが、これで100キロ超えのマグロやGTの世界記録を釣る人が出ています。昔だったらローラーガイドでなければ不可能だったでしょう。果たして今後これ以上のものが出てくるのでしょうか。
- 素材
- 炭化珪素
- 硬度Hv(Gpa)
- 22~24
- 比重
- 3.2
- 熱伝導率W/m・K
- 60
- 曲げ強度
- 540
素材:炭化珪素
ダイヤモンドの次の次、地球上で3番目に硬い物質です。ちなみに2番目は炭化ホウ素です。ですので、カッターナイフでゴリゴリやっても傷つかないというのは本当です。
また、金属にせまる熱伝導率を持っているのも大きな特徴です。
硬度:22~24
SiC>トルザイト>SiNⅡ、アルコナイト、ファズライト>"O"リング
当然ラインナップ中で最も硬いです。
比重:3.2
(左から軽さの順に↓)
SiC、SiNⅡ>トルザイト>"O"リング、ファズライト>アルコナイト
比重も最も軽いです
熱伝導率:60
SiC>トルザイト>SiNⅡ>ファズライト>"O"リング>アルコナイト
熱伝導率も圧倒的です。
曲げ強度:540
トルザイト>SiNⅡ>SiC>アルコナイト>ファズライト>"O"リング
素材の特性としてトルザイトに負けているところは唯一曲げ強度だけです。
トルザイト
トルザイトのスペックはSiCと比べて全ての点で劣るのですが、最大のメリットは軽量化です。曲げ強度が非常に高いので薄く作ることができ、同サイズでも内径が大きくなるので一つ下のサイズにサイズダウンすることがが可能なのです。
特にトップガイドは一つ上のサイズのSiCガイドと内径が同じです。これはかなりの軽量化になるでしょう。"O"リングに至ってはトップガイド以外のガイドについても一つサイズが小さいにも関わらず内径は"O"リングと同じで大きい場合もあるくらいです。
- 素材
- 窒化珪素の可能性
- 硬度Hv(Gpa)
- 13~15
- 比重
- 3.3
- 熱伝導率W/m・K
- 27
- 曲げ強度
- 1020
素材:不明、窒化珪素かも
京セラの特性表を見たところ、窒化珪素だと思われるのですが、メーカーに問い合わせたところ企業秘密で教えてもらえませんでした。
窒化珪素(Si₃N₄) | トルザイト | |
材質記号 | SN-240 | |
硬度Hv(Gpa) | 14 | 13~15 |
比重 | 3.3 | 3.3 |
熱伝導率W/m・K | 27 | 27 |
曲げ強度 | 1020 | 1020 |
完全に一致しています。
おそらく安いイメージを持たれたくないので言いたくないのでしょうか。いい物はいいので私なら気にしませんが。
硬度:13~15
SiC>トルザイト>SiNⅡ、アルコナイト、ファズライト>"O"リング
アルコナイトと同じで"O"リングともそれほど変わりません。
比重:3.3
(左から軽さの順に↓)
SiC、SiNⅡ>トルザイト>"O"リング、ファズライト>アルコナイト
SiCより少し重いですがその他よりは軽いです。
熱伝導率:27
SiC>トルザイト>SiNⅡ>ファズライト>"O"リング>アルコナイト
SiCに次ぐ2番目の値です。
曲げ強度:1020
トルザイト>SiNⅡ>SiC>アルコナイト>ファズライト>"O"リング
この部分は圧倒的です。SiCの約2倍の値です。ですのでSiCよりも薄く作れるのでしょう。
ハードロイ
ハードロイと"O"リングは混同してしまいそうになりますが、ハードロイと"O"リングは別物です。
ハードロイは2010年ごろまで販売されていて、"O"リングと同じくらいの値段で販売されていたもので、現在は製造されていません。素材は"O"リングとおなじ酸化アルミニウムです。
何らかの理由で結局"O"リングが生き残って今にいたるわけです。いかに"O"リングの完成度が高いかということです。
ちなみに現在でもアメリカの通販サイトで販売されていますが、残った在庫なのでしょう。しかし有名なショップではすでに存在していません。
ファズライト
これはイタリアの富士のカタログで見たんですが、アメリカでは売っていないのかと思って調べたらありました。グレードは"O"リングとアルコナイトの中間のものです。値段もアルコナイトより少し安く、"O"リングより少し高いです。
最大の特徴はきれいな青い色をしているというところです。ファズライトの名前の由来も「fuji」とイタリア語で青を意味する「azure」と「light」から来ています。
スペックもアルコナイトとほぼ同じで安いです、しかもKガイドもあります。これ日本で売ってくれないですかね、欲しいです。
- 素材
- 不明
- 硬度Hv(Gpa)
- 14
- 比重
- 3.8
- 熱伝導率W/m・K
- 17
- 曲げ強度
- 420
素材:不明
硬度:14
SiC>トルザイト>SiNⅡ、アルコナイト、ファズライト>"O"リング
“O"リングと同じぐらいです。
比重:3.8
(左から軽さの順に↓)
SiC、SiNⅡ>トルザイト>"O"リング、ファズライト>アルコナイト
“O"リングと同じ。アルコナイトより軽いです。
熱伝導率:17
SiC>トルザイト>SiNⅡ>ファズライト>"O"リング>アルコナイト
熱伝導率はアルコナイトや"O"リングよりも優れています。
曲げ強度:420
トルザイト>SiNⅡ>SiC>アルコナイト>ファズライト>"O"リング
アルコナイトに近いです。
SiNⅡ
こちらはオフショアの大物専用のガイドです。スペック的にはアルコナイトとSiCの中間ですが、アルコナイトには大物用ガイドがありませんので値段を比べることはできません。
頑丈で放熱性が高いことを売りにしているようです。
- 素材
- 窒化珪素
- 硬度Hv(Gpa)
- 13~15
- 比重
- 3.2
- 熱伝導率W/m・K
- 20
- 曲げ強度
- 610
素材:窒化珪素
高温機械強度、破壊靭性が高く高温構造材料で活躍しています。ジェットエンジンのボールベアリングの部品にも使われています。
硬度:13~15
SiC>トルザイト>SiNⅡ、アルコナイト、ファズライト>"O"リング
アルコナイト、トルザイトと同じです。
比重:3.2
(左から軽さの順に↓)
SiC、SiNⅡ>トルザイト>"O"リング、ファズライト>アルコナイト
SiCと同じということは最も軽いです。
熱伝導率:20
SiC>トルザイト>SiNⅡ>ファズライト>"O"リング>アルコナイト
SiCは別格としてトルザイトの次に優れています。
曲げ強度:610
トルザイト>SiNⅡ>SiC>アルコナイト>ファズライト>"O"リング
SiCより強いです。同じ厚さならこちらのほうが強いのでボートの大物釣り専用としてラインナップに組み込まれているのでしょう。べつにSiCでいい気がするんですが、アメリカ人は意地でもSiCを買いたがらないのでしょうか。
一覧表
トルザイト | SiC | SINⅡ | アルコナイト | ファズライト | “O"リング | |
---|---|---|---|---|---|---|
硬度Hv(Gpa) | 13~15 | 22~24 | 13~15 | 13~15 | 14 | 12~14 |
比重 | 3.3 | 3.2 | 3.2 | 4.2 | 3.8 | 3.8 |
熱伝導率W/m・K | 27 | 60 | 20 | 11 | 17 | 12 |
曲げ強度 | 1020 | 540 | 610 | 440 | 420 | 300 |
私の見解
今回色々調べて頭を整理して分かったんですが、"O"リングとSiCとトルザイトが素晴らしすぎます。外国人よ、"O"リングとSiCを買いなさい。
それから、日本でもファズライトを販売してくれないですかね。かなり欲しいです。
今回は以上ですお役に立てたら幸いです。