アルコナイトガイドとは

2021-01-28

アルコナイトガイドとは"O"リングよりちょっといいガイドという位置付けのガイドです。日本で売っていないので謎だらけです。

メーカーに問い合わせたり、外国のサイトで調べたりしました。この記事がお役に立てたら幸いです。

アルコナイトガイドとは

アルコナイトガイドとは富士工業が製造販売する、SiCガイドと"O"リングガイドの中間に位置するグレードのガイドです。アルコナイトとは商品名であり素材の名前ではありません。

外国では性能がよく安いということで主流と言っていいほど多くのロッドに採用され、近年日本の大手メーカーもこぞって採用し始めています。

ガイド単体は日本では販売されていませんが、外国では普通に買うことができます。また、日本では"O"リングは安物なのでエントリーモデル以外にはできればSiCを使ってほしいという感覚ですが、外国ではSiCは日本人以上に高級品で特別というイメージあるようで、ある程度高い竿にもかかわらず平気でアルコナイトが採用されているものが多くあります、それが普通のようです。

ちなみに、アメリカでは"O"リングは日本より安く売られていて、日本の"O"リングとアルコナイトが大体同じくらいの値段です。海外では日本と違って希望小売価格という概念がなく、ショップが好き勝手に値下げして売るので安いのでしょう。

下に特性表を載せておきます↓


リング素材の特性表
SiCアルコナイト“O"リングダイヤモンド
高度Hv(Gpa)22~2413~1512~1460
比重3.24.23.83.5
熱伝導率W/(m・k)601113138.1
曲げ強度MPa540440300
データ引用元 富士工業のイタリアのサイト



また、他のガイドも全部知りたい方はここを見てください↓

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アルコナイトは何でできているのか

外国のカタログには「強化アルミニウムオキサイド」とあります。

アルミニウムオキサイドは"O"リングの素材です、では「強化アルミニウムオキサイド」とは何なのでしょうか?メーカーに問い合わせましたが企業秘密で教えてもらえませんでした。

結論は、企業秘密なので厳密にはわからないが、「強化アルミニウムオキサイド」の名のとおりアルミニウムオキサイドをベースにさらに何らかの手法で強化したものという答えになります。

アルコナイトの素材は「ジルコニア強化アルミナ」かもしれない

※以降はアルミニウムオキサイドをアルミナと記述します。意味は同じです。アルミナと呼ばれるほうが多いです。

アルコナイトリングは名前からして「ジルコニア強化アルミナ」の可能性が十分あります、ジルコニア強化アルミナとはアルミナにジルコニアを添加して強度特性を上げたものです。比重が上がり熱伝導率が下がり曲げ強度が上がっているところから見るとかなりつじつまが合います。企業秘密である以上真偽のほどは知る由もありませんが。

アルミニウムオキサイド

ジルコニア

~イト

❘❘

アルコナイト

企業秘密にしてはわりと正直ですね。

アルコナイトのメリットデメリット

スペック的なメリットは一つもない

私は今までもアルコナイトにスペック的なメリットは一つもないと言ってきたのですが日本では情報も少ないとあっていまいち説得力のある説明ができませんでした。

しかしこの度、外国の2021年のFujiのカタログでアルコナイトのスペックを表見つけました。これによりいよいよ完全に消費者にとってはアルコナイトの存在価値はないということが分かりました。

下記を見てください、実は"O"リングとアルコナイトのスペックはほぼ同じなんです。比重と放熱性にいたっては “O"リング の方が優れているくらいです。↓

引用元富士工業2021カタログ

硬度は同等。比重は"O"リングが軽い。放熱性は"O"リングが上。曲げ強度はアルコナイトが少し強い。

硬度と曲げ強度はアルコナイトが上。放熱性は"O"リングが上で比重も “O" リングが軽い。ただしどれも実用上意味をなさない程度の差です。ちなみに私的には “O"リング の方が放熱性が高いというのは気になるところではありますが。

引用元富士工業2021カタログ

内径も"O"リング以下か同等

アルコナイトの唯一のメリット

上記の通りスペック的には"O"リングと同等か少し劣る程度ですが、明確なメリットがひとつあって、それはKガイドのラインナップがあるということです。日本だとKガイドが欲しければSiCかトルザイトにしなければならずかなりコストがアップしてしまいますので、安くKガイドが手に入ることとKガイド搭載の釣竿が安く買えるのはKガイドが好きな人にとってはかなり嬉しいポイントです。

とはいうものの日本人の場合アルコナイトを入手しようと思えばアメリカから輸入しなければならず帰って高くつきますし、私としてはメーカーには昔からあるYガイドプラス"O"リングのセッティングでその分ブランクスにお金をかけて欲しいと思います。

アルコナイトのデメリット

上記でスペックは"O"リングと同等か少し劣ると書きましたが、似たり寄ったりのものなので、これと言ったデメリットはありません。

ただやはり大物釣りには使わないほうがいいでしょう、大物と言ってもマグロ用の竿にアルコナイトが使われていることはないと思いますが、怖いのは中途半端なショアジギングロッドです。シマノの2万7000円ぐらいのショアジギングロッドにアルコナイトが使われています。しかし超大物がかからないとも言い切れませんので、やはりSiCが欲しいところです。

昔、大物釣りでのラインブレークの原因のほとんどはラインとガイドの摩擦熱と言われていました。摩擦熱からラインを守るには高い放熱性が必要で、SiCの出現によりローラーガイドを使用することなく大物を釣ることができるようになったという経緯があります。

今では放熱性に優れたSiCの出現によりローラーガイドを使わずに100キロを超えるようなマグロを釣ることも不可能ではなくなったということですが、さすがにそれをアルコナイトでやるわけにはいかないでしょう。

メーカーはウハウハのぼったくり

消費者にとってはアルコナイトのスペック的なメリットは何一つないと述べましたが、メーカー側にとってはメリット大有りです。

それは、安物の竿を僅かにコストアップするだけで一段階上のグレードに見せかけて値段を高くできるということです。つまりぼったくりということです。この作戦は大変な成功をおさめているようで、今や数万円もするような竿にもアルコナイトが使われていることもあるくらいです。そして消費者も"O"リングではなくアルコナイトということで概ね満足しているようです。

もちろん検証のしようがないので私の邪推の域をでません。逆に一段階上のグレードのブランクスにアルコナイトを使用して、いいものを安く売っているという可能性もあります。しかし、何十年とダイワやシマノと付き合ってきた私からするとやつらにそのような良心があるとはとても思えませんが、皆さんはどうでしょうか?

なんにせよ日本においては消費者のメリットよりも釣り具メーカーのメリットのためにあると言えるでしょう。もちろん富士工業には罪はありません。

アメリカ市場の話をしますと、アメリカ人はあまりSiCを欲しがらないので、"O"リングより少し高いのが欲しいという消費者からの希望が出てくるのも自然の流れと言えます。

アルコナイトガイドの特徴

アルコナイト“O"リング
高度Hv(Gpa)13~1512~14
比重4.23.8
熱伝導率W/(m・k)11 13
曲げ強度MPa440300

アルコナイトの特徴なんですが、実は"O"リングと比べてこれといって突出している部分がないんです。熱伝導率はむしろ"O"リングよりも劣っているぐらいです。ただ、硬度は同等かそれ以上で強度も多少まさっています。

うたい文句としては一応下記のようなものを見つけました。赤文字の部分です、圧縮強度が80%増え、20%軽量と書いていますね。ただしこれはリングの話なのでガイドという製品自体が20%も軽くなるということではありません。

ALCONITE is a masterful blend of economy and quality and the go-to choice on millions of custom and factory built rods each year. ALCONITE is a special type of ceramic that offers 80% greater compression strength and is 20% lighter than Aluminum Oxide. Diamond polished to superb smoothness, ALCONITE boasts super-low abrasion on any line type. When combined with the Concept frame the results are unparalleled….35% lighter and up to 50% stronger than competitive guides.

アメリカのどこの通販サイトにも大体載ってます

※残念ながら元の元になった富士の文章は見つけることはできませんでしたが、どこの通販サイトでも使われている共通の文章なので富士から昔に引用したのでしょう。

硬度

アルコナイト“O"リング
硬度Hv(Gpa)13~1512~14

高度は"O"リングと同等か僅かに上です



PEラインで削れるかどうかは後述します。

比重

アルコナイト“O"リング
比重4.23.8

比重は"O"リングのほうが軽いです

熱伝導率

アルコナイト“O"リング
熱伝導率W/(m・k)1113

 熱伝導率は"O"リングの方が高いです。 “O"リングの方が放熱性が良好ということです。しかしマグロでも釣らない限り関係ないです。

曲げ強度

アルコナイト“O"リング
曲げ強度MPa440300

曲げ強度はアルコナイトのほうが強いです。しかしこのぐらいの差に意味はないです。例えばSiCとトルザイトの曲げ強度を見てください。これぐらいの差がなければ薄く作るということができるまでにはなりません。

引用元富士工業2021カタログ

価格帯

SiCアルコナイトOリング
KTガイド#65.59ドル(約620円)2.09ドル(約230円)ラインナップなし
KLガイド#2513.15ドル(約1460円)5.09ドル(約560円)ラインナップなし
Lガイド#6ラインナップなし1.69ドル(190円)0.9ドル(100円)
日本では270円(税抜き)

アルコナイトはPEで削れないか

アルコナイトがPEラインで削れることはありません。なぜなら"O"リングもPEラインでは削れないので、それより同等以上の硬度を持つアルコナイトが削れることはありません。

そこで今まで"O"リングが削れたという消費者からの報告やメーカーの実験結果などがないか富士工業にメールで問合わせました。

回答は「ない」ということでした。

昔ゴールドサーメットという最上位のガイドがあって、これがビッカース硬度1100しかなくガイドが削れるということが頻繁に起こり、メーカー側に報告がありメーカー側もそれを認めたということがありました。

ですので、"O"リングがこれほど長く使われてそういった報告がないということはやはりPEラインで"O"リングは削れないということです。

✔️PEラインでガイドが削れるメカニズム

極小の砂粒がラインに付着しそれがやすりのように働いてガイドを傷つけると言われています。砂の成分である石英はビッカース硬度1103なのでこれよりガイドが柔らかいと削れるということになります。

上記のゴールドサーメットが硬度1100なので理論通り削れたわけです。

宝石のサイトが分かりやすいので引用させていただきました。↓

宝石になる鉱物には、希少性の他に、美しさと美しさを保つための硬度を持っていなければなりません。宝石として利用されている鉱物の硬度が高いのは、そのためです。身のまわりに普通に存在している砂の主成分は、角閃石と長石と石英です。この3つの鉱物のなかで、最も硬いのは石英です。石英よりも硬い(モース硬度計で7より大きい)鉱物を宝石として用いれば、砂ぼこりによるキズがつかないことになります。モース硬度計で7よりも小さい鉱物(ムーンストーンやトルコ石など)は、砂ぼこりを取り除く時に、注意が必要です。ふき取るのではなく、吹き飛ばすようにします。

鉱物の硬度

今回は以上です。ありがとうございました。

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Posted by UL&GT