最大ドラグ力と実用ドラグ力の意味
はっきりしないのでダイワとシマノに問い合わせました。厳密に解説しましたので少しややこしいかもしれませんが、スッキリしたい方は読んでください。
最大ドラグ力、実用ドラグ力とは
最大ドラグ力とは、スペック表の糸巻き量までラインを巻いた状態でドラグを締めていき、発揮できる最大のドラグ値です。
実用ドラグ力とはシマノのみ採用している表記で、ドラグを微調整できる範囲での最大のドラグ力です。これを変曲点といいます。
以下ではダイワとシマノそれぞれについて解説します。
ダイワの最大ドラグ力
まずは結論です↓
ダイワの最大ドラグ力とは「標準巻糸量」までラインを巻いた状態でドラグを最大限締め込んだときに発揮できるドラグ力です。
上記の通り実にシンプルな話なんですが、ダイワのサイトには最大ドラグ力とは「ドラグを締め込める限界点でラインを引き出せる力となります。」としか書いておらず、そもそもどういう状態で計測したのかが全く分かりません。
糸をどれだけ巻くのかによってドラグ力は変わってきてしまうわけです。ですので、ダイワにメールで問い合わせました。すると
「スペック表に書いてある標準巻糸量までラインを巻いた状態で計測したもの」という回答をいただきました。
それが上記の結論です。
ダイワの実用ドラグ力
ダイワには実用ドラグ力という考え方はありません。実用ドラグ力というのはシマノの話です。
シマノの最大ドラグ力
シマノの最大ドラグ力とは、スペック表の「糸巻量」まで糸を巻きドラグを最大限締めた状態のドラグ力です。
最大ドラグ力はダイワと同じ考えかたですね。
まずシマノのサイトを見てみましょう↓
⚫最大ドラグ力の定義
測定基準:基準ラインを規定量巻き、ドラグを最大限手で締めた状態でラインを引く。
この時にドラグが滑り始めた時点のテンションを最大ドラグ力と呼びます。
✔️基準ラインって何?規定量って何?
ダイワよりは親切に解説しています、しかし結局「基準ライン」とは何なのか「規定量」とは何なのか、という説明が一切ありません。ですのでメールで問い合わせました。すると
「スペック表の糸巻量の欄に表記している号数糸巻量を巻いた状態での計測となります。」という答えが返ってきました。
シマノの実用ドラグ力とは
まず結論です↓
まずドラグを徐々に締めていきます。すると当然ですが徐々にドラグ力は強くなっていきます、ところがある点を境に少しドラグを締めただけで一気にドラグ力が跳ね上がってしまいます。この「ある点」を変曲点と呼びます。実用ドラグ力とは変曲点のドラグ値です。
そしてこの変曲点までの範囲がシマノの言う「実使用状態で調整が容易にできる範囲」ということになります。
ではシマノがなんと言っているか見てみましょう↓
⚫実用ドラグ力の定義
測定基準:基準ラインを規定量巻き、ドラグを手で締めた状態でラインを引く。
この時に実使用状態で調整が容易にできる範囲での最大張力を実用ドラグ力と呼びます。
まず「基準ラインを規定量巻き」というのは最大ドラグ力のときの説明と同じです、スペック表の糸巻き量のとおりに巻くということでしたね。
問題は次です、「実使用状態で調整が容易にできる範囲」というのが結局何なのかがわかりません。ですので電話で問い合わせました。そしてお答えいただいたのが上のほうで書いた結論にあるとおり、変曲点の値以下ということでした。
余談
今回メーカーにドラグについて問い合わせる過程でいくつかのことがわかりました。あくまで余談です。
シマノの最大巻上長。じつはそんなに巻けない!
ドラグについての質問をする過程で私が「最大巻上長」について聞いたときの話です。
担当者:開口一番「あ、最大巻上長って実際にはそんなに巻けないですよ。」
って言われました(笑)。じつはシマノの「最大巻上長」はスプールに糸をパンパンに巻いた状態の巻上長のことなので、実用上はもう少し短いっていうことでした。
私はハイギア派なので、少しでも速くリトリーブできるというのをリールを選ぶ際の重要な基準にしているので結構ショックでした。
考えてみればシマノらしい厳密な表現で、ダイワは「最大巻上長」ではなく単に「糸巻き量」と表記してあります。
糸の銘柄によってドラグ値は変わるんじゃないの?
ダイワもシマノもスペック表の糸巻き量とおりに糸を巻いた状態でのドラグ値だということです。
そこでふと疑問が浮かびました。「同じ長さの糸を巻いても銘柄によって微妙に太さが違うので同じ条件にはならないんじゃないか?」という疑問です。
例えば、スペック表の「標準巻糸量」まで糸を巻くとします、それだと糸の銘柄によって糸を巻いたあとのスプールの外径は違ってきてしまいます。外径が違えば同じ力でドラグを締め込んでもドラグ力は違ってきます。
スプールの外径が太ければドラグ力は弱くなりますし、細ければドラグ力は強くなります。これだと、同じリールを測定しているのに違う値が出てきてしまうわけです。
対して、スペック表の「巻取長さ(cm/ハンドル一回転)」になるように糸を巻くということにすれば、どんな糸を巻こうがスプールの外径は同じになります。ですので糸の銘柄や種類に影響されることなく条件を揃えてドラグ力を測定できるということになります。
そこでシマノとダイワにそれぞれ電話で問い合わせました。以下結果です。
ダイワ:電話の担当の方もなるほどと納得したようで技術者に聞いてみるということになり、しばらく電話を保留にして技術者に問い合わせてくれました。するとやはりスペック表の「巻取り長さ」になるまで糸を巻いた状態で測定しているという考えで間違いないということでした。
しかし実際は微々たる違いなのでそこまで厳密に考える必要はなく、ダイワに問い合わせてもこちらからツッコまない限り、まず「標準糸巻量を巻いた状態での測定でございます。」という答えが返ってきます。
シマノ:おおむねダイワと同じ答えが返ってきました。「糸の銘柄による差は微々たるものでそこまで厳密にするときりがない」ということでした。ちなみにナイロンはどのようなものでもほぼ標準直径どおりになっているので誤差がなく、フロロは固いので若干誤差は出やすいと言っていました。ただし先ほども言いましたが、ドラグの値に対する影響は無視できる程度だということです。
くれぐれも担当者さんを困らせるような質問はやめましょう(笑)